はじめに
まさか最新作が出るとは思ってなかった私です。いわゆるナンバリングタイトルではなく、”f” という形での発表となっていますので、ほんの少しだけその辺りに触れつつ感想でも書き連ねようと思います。f が何?って話は多分ネタバレなので回避します。
ネタバレについて
当たり前ですが、ストーリーやら作中の話には触れないです。ただ「ドラクエ新作にホイミが出て来る」程度の話はしますのでそこら辺はご了承ください。公式で触れている話題とかも出します。つまり「戎ヶ丘」が舞台だからここが静かならサイレントヒルだよねって話よ。
評価前情報
取り敢えず先に言っておきますが、シリーズに倣ってマルチエンドです。外伝ではありますが、そこは踏襲していました。外伝って言うとDOWNPOURやSHATTERED MEMORIESがありますね。私はどっちも結構好きです。
シナリオは竜騎士07氏が携わってます。なので「そういう作品」になる可能性が高いって予想してました。文中では同氏の有名作である「ひぐらしのなく頃に」を「ひぐらし」として書きます。
評価
思ったより楽しめなかったが楽しめた。敵のデザインや雰囲気は良い感じなのに勿体ない。
そういう作品です。何を言っているか、一つずつ見ていきましょう。
- 戦闘
先ず戦闘です。女子高生とは思えない行動を見せてくれます。一部アクションは「タヒねぇ!」って感じで好きでした。が、敵が基本スーパーアーマーなのでごり押しは不可です。後隙を見て数発殴って早めに離脱、その際にスタミナは残しておく、と何だか爽快感はそんなになかったです。ソウルシリーズの悪い部分を見ている様でした。敵が特定の攻撃をするまで様子見をすることが最適解、なので初手から高難易度を選んでしまった私は戦闘に対して緊張感、というより間延び感が強かったです。あ、遠隔は無いです。
狭い部屋では武器が壁に当たって弾かれるとか楽しい思いができました。怒ったので武器や回復にある程度の制限があるのも影響し、無駄な戦闘は避けて進みました。これは過去作もそうでしたね。ただ場所によっては戦闘中は進行不可・殲滅必須。振り返ると無視してた大量の敵が。最高かよ。
正直戦闘は面白くないので、戦闘難易度は物語重視(最低)で良いと思います。別に新モーションあったりしないですからね。
敵配置も悪意マシマシですね。初見殺しという理由で角待ちが多すぎる。ホラーなので本来なら驚くはずなのですが、奇襲を受けるイラつきが強く、正直全く怖くは無かったです。こういうのって「雰囲気や恐怖感で歩く」はずだと思うのですが「敵の奇襲に備えて歩く」という状態になっていることに気が付いて乾いた笑いが出ました。
話の続きが気になるのに余計な戦闘が入るせいでヤキモキするケースが多かったかな。まぁ最初から高難易度選んだ私が悪いんですけどね。
- 謎解き
サイレントヒルの大事な要素ですね。初手高難易度、二周目は解放された最高難易度を選んでみました。確かに難しい、のですがいくつかの謎解きの答えが周回しても同じであり、そこは残念でした。
謎解きの文章を見せられて「…?」ってなるのがシリーズ恒例だと思ってまして、今作は「あー、これをどうにかすれば答えになるかー」とちょっと見えやすかったです。これもネタバレに近いのでこの程度にさせてください。余談ですが64通りって物理的なセキュリティとしても普通に弱いので気を付けましょう。
単に老いただけなのかも知れませんが、謎解き完了時に過去作ほどの達成感や苦戦感はなく、もう一声欲しかったです。
- ストーリー構成
話自体には触れませんが、構成についてちょっと触れます。サイレントヒルの名を冠しているのでらしさ、とかも気になりますよね。と言っても何を「らしさ」とするかは人それぞれなので評価点は様々だと思います。
私の感じで言うと「これは外伝で良かった」です。シリーズでおなじみ裏世界、ですが本作は正直「表世界」自体が曖昧であり見せつけてくる世界が「裏世界」なら結局世界の在り方が不明になってしまいます。内容に触れずに表現するのが難しいので判り辛い書き方になってしまいますが、簡単に言うと「なんか違う」ですね。過去作ではどちらかというと「人」を中心に深層心理を広げることが多かったですが、今作は「舞台背景」が中心となっていると感じました。
また日本作品の難しいところですが、伝承や手記がどうしても多くなります。呪術系の話ですからね。全部終わってから読み直すなら別ですが、物語の進行中に拾った謎の手記の断片がどういう世界の話で何を言っているのか、を毎回フォーカスするのは正直しんどかったです。それどころじゃねぇよって。それで、作中の「あの要素はこういう意味だ」とか考察系の商材になりそうな話題が多いのですが、過去作品ではもちろん謎こそあれ、儀礼的・宗教的なのはあまり多く無かったはずです。2ではエディの背景をグダグダ考えるの好きだったんですが、今作では「人由来」だけでなく「舞台」や「儀式」が要因なのか混ざり気味だったので少し濃くしすぎだったかなぁと感じました。目に見えない登場人物がいるのって良くないですよね。
先ほど書いたマルチエンディングについても触れます。正直今作は良くない使われ方だと思いました。過去作っていくつかある世界線で「こういう終わり」「そういう結末」とかいくつかあると感じています。…犬とかUFOは置いておいて。今作もまぁそうなんですが、明らかトゥルーエンド的なものとその前座、って意識が強いです。2とか「どのエンドが好き?俺は○○エンド」みたいな展開が出来そうですが、今作はそういうノリじゃないです。
周回する度に若干ムービーが変わっていたりするのでその点は素直に楽しめましたが、トゥルー狙いの周回では明らかに「種明かし感」が強くなります。つまりこれに到達していない状態で見ていたエンディングは不完全だったのか、という感覚を強く抱きました。サイレントヒルというよりもひぐらしの「解」っぽさが強かったです。このあたりは竜騎士07の影響ですね(私は目明しとか好きだったんですけどね。)最後は良い話感が強くなりますが、それが強まれば相対的に前の周回時の話の価値が下がる感覚がありました。いや、もちろん真実に対するミスリードだったり多面的な見方というのは否定しないです。単に、真実あっての話であり、それ単体では足りていないと言われている気がしてならなかったです。マルチエンディングってそういうのじゃないと思います。
最後に作中の謎・伏線に関してですが、私が資料を読み見込んでいないからでしょうが「つまりアレって?」という要素がいくつかあったのでもう少し単純で良かったんじゃないかなって思います。サイレントヒルってそういう作品じゃないと思ってます。不気味で語られない不明点、なら良いんですがね。しかも資料ってそこら辺に散らばってるんですよね。全部探してから言えと?じゃあ黙ります。
総評
サイレントヒルっぽさを昭和日本に入れ込んだひぐらし亜種ですね。悪くはないんですが高評価!とまではいきませんでした。普通の作品、ですかねー。話が崩壊していないのでそこは評価できますが、そこを引き合いに出すのも哀しいですね。
語られない部分を妄想・補完することを喜びとしている人が一定数いるのは間違いないのでそういう層にとっては神ゲーなんじゃないですか?私はサイレントヒルにそれは求めてないですし、妄想で考察話を膨らませることは政治やゴシップの論争に等しい無駄な行為だと考えている人なのでストーリーと戦闘が大きく評価の足を引っ張った感じです。途中式の無い解って減点対象です。読者が勝手に式を考えてくれるだろうというのは怠慢だと思ってます。
以下駄文
この手の作品における『良いストーリー』って何だろうなって思いました。ある程度の考察の余地は残しつつ必要な謎はしっかり明かす、じゃないですかね。書きたいモノを書くのは結構ですが、散らばっている資料をかき集めて目を通したらやっと見えてくるというのは面倒ですね。いや、それでも明かされてない謎あるわ。ひぐらしは普通に作中で背景説明してくれたので若干複雑な世界線でしたが話が見えて面白かったです。過去シリーズやそれと比較しても、今作はちょっと同人作品感が見えました。